マイ・ドリーム―バラク・オバマ自伝

マイ・ドリーム―バラク・オバマ自伝バラク・オバマカリスマ オバマ
 バラク・オバマの映像や演説から「何か」を感じた人に薦める。

 543ページというぶ厚い本だが、あなたが感じた「何か」を探りたければ、きっとどんどん読みすすめることができる。

 読み終わったあなたはきっとオバマに会いたいと、思うだろう。

 「勇気について、悲しみについて、強さともろさについて…」直接話しを聞きたくなるにちがいない。

 ケネディーが生きた時代を、リアルタイムで経験することはできなかったが、きっと彼に備わっている何かと同じものが、バラクにはあるだろうと思うのだが、どうなんだろうか?

「アイデンティティ探し」の長い道のり
最近話題のアメリカの上院議員です。2008年の合衆国大統領の民主党候補の座をクリントン前大統領の夫人、ヒラリーさんと争っています この本はその著者の「自伝」とあります。

全3部で成り立ちます。1部と2部自分の父母や祖父母、そして自分の生まれ育ちを語り、3部では父親のふるさとであるアフリカのケニアに渡った時の話で成り立ちます。

500ページを超える大部ですが、その論旨は必ずしも明快というわけでもないのですよね。それでもその言わんとするところを読み取ろうと私なりに努力しました。

結局本書は著者の人生が「アイデンティティ探し」の長い道のりの途上にある、ということを言わんとしているのだろうと思います。ただし、人種の違いの問題、父母の国の貧富の格差等、「自分探し」という手垢がついたものとは違って、もっと複層的なものだろうな、とも。

彼は第三部において父の故郷、アフリカのケニアに渡ります。祖父と父の墓の前で悟るのです。他人を信じる気持ちの重要性と、それを忘れることの悲劇を。それがあればどのような差異も乗り越えられるという悟りなのです。

そして彼の政治的な立場は、人種の違いを超え、コミュニティをつくりあげていくこと、にあると言っていいと思います。

常に黒人としての自分を意識せざるをえず、といいつつも白人社会の一員という意識も持つ彼が、白人が黒人を差別することの不当性はもちろんですが、黒人達が「すべて白人が悪い」というスタンスで社会批判をすることに対しても距離を置こうとしていることも理解できます。

ただし、これはリベラリズムに対置されるコミュニタリアニズムなのかというと、本書の記述からだけでは良くわからないのですよね(要するに自由に対する一定の制限を許容するかどうか)。一応エピローグには「コミュニティと我々の自由はどうしたら調和させることができるのだろう?」と自問しているのですね。このあたりは大変に興味があります。

イリノイ州議会議員や上院議員時代の話や政治的な立脚点等については述べられていないので、その後の彼の思想的な変遷等について知りたいですね。

500ページを経てなおその論旨が明快とは言い切れないのは、彼は黒人の父親と白人の母親の血を引いているものの、やはり黒人としての自分を強く意識せざるを得ないからなのでしょう。

彼は黒人社会に根強く残る「黒人が不幸なのは白人が悪い」的なステレオタイプな社会観から距離を置こうとしており、そのためには、「自分がいかに長い道のりを経てこのような思考に至ったのか」ということを、おそらく黒人の側に示す必要があったからなのだろう、と思います。

Barack Obama: Future US President
(アメリカ生まれの「黒人」ではなく)ケニア生まれの「アフリカ人」を父にもつ

米国(ハワイ)生まれのバラク・オバマ上院議員は、米国政界で、極めてユニー

クな存在である。ある意味でアメリカ社会を「外国人」の視点から、冷静に眺め

ることができるからだ。そのオバマが最近、2008年の米国大統領選の民主党

候補として、彗星のごとく登場したかと思っているうちに、何時の間にか、

最有力候補のヒラリー(クリントン夫人)と堂々と肩を並べながら、次期大統領へ

の切符を互角に争うまでに躍進した。

特に、ブッシュ政権が残したイラク戦争の泥沼状態から一刻も早ュ抜け出したい

若い世代(有権者)から絶大な人気を勝ちえつつある。(ベトナム戦争末期の)

1968年当時の民主党大統領候補「ロバート・ケネディー」のイメージを連想

させる進歩的、エネルギッシュかつ正直なカリスマ、オバマ候補だけに、これら

の若者たちが熱望している「ドラマチックな」政治的路線の変換ができるだろう。

あくまでも保守的な中道路線をとる、政治経験豊かな老かい政治家ヒラリーには、

余り変化を期待できないと、進歩派のインテリ層も次第に気がつき始めた。前回

民主党の大統領候補だったケリーもヒラリーを捨て、オバマ支持を最近表明した。

さて今年は、予備選が例年よりもずっと早期に開催され始め、大票田の1つである

ペンシルバニア州の予備選(4月22日)で、大勢が決まってしまう。勝敗のゆく

えはまだわからないが、はっきりしていることが1つだけある。有権者の大半に飽

き飽きされている共和党は誰が候補に指名されても、もはや勝目はない。

そこで、近い将来、次の2通りのシナリオが予想される。もし「本命」ヒラリーが

勝てば、オバマは副大統領への切符を恐らく獲得するだろう。そして、ヒラリー

が2期、無難に大統領を勤めたあと、(8年間の実績を買われ)オバマは201

6年には、自ら大統領にきっと選出されるだろう。もし番狂わせが起こり、この

夏にオバマがヒラリーを破って、民主党候補に指名されれば、11月には、大統

領に当選するだろう。どちらにしても、オバマが遅かれ早かれ史上初の(非白人)

大統領になるのは、ほとんど(醜い「暗殺」が再発せぬ限り)確実である。

言い換えれば、この自伝は、(近い将来、米国の大統領になるべき) オバマが、

まだ政治家になる前に、白人社会と非白人(アフリカ人)社会の狭間で苦しみな

がら何とか生き抜いた母子家庭生活、多情多難な若き少年/青年時代を赤ららに描

いている。(根強い「差別社会」である)日本で、いわゆる「ハーフ」あるいは

「在日」として育った青少年たちには、特に勇気と啓蒙と感銘を与えると私は信じる。

できれば、邦訳「パール・バック伝:この大地から差別をなくすために」も併せて、

読んでもらいたい。

オバマの政治家としての (特にシカゴでの上院議員時代の) 活躍ぶりを知りたい

読者には、最近出版された評伝「Obama:from Promise to

 Power」をお勧めしたい。

さて、日本の政界でオバマのような若々しい政治家がトップに踊り出るチャンスは

一体あるだろうか? 首相を飽くまで議会で選ぶ 「間接的な」民主主義から脱し、

国民一人ひとりの手による「直接選挙 」(投票)で、「国の長」(大統領) を選ぶ制度

へ大きく変換しないと、官僚出の古臭い政治家ばかりが、いつまでも日本の政府を

牛耳ることになるだろう。

オバマ自身の言葉によれば、彼の大志の出どころは、父親の期待に答えるばかりで

はなく、父親の犯した失敗を繰り返すまいとする努力にもあると。

ぜひ, 父子の夢が見事にかなえられるように望む。。。
マイ・ドリーム―バラク・オバマ自伝

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