小説 上杉鷹山〈上〉 (人物文庫)
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小説 上杉鷹山〈上〉 (人物文庫)童門 冬二
人の心を掴み、組織を富ますリーダ像を知る
資金が潤っている組織では、比較的なんでもうまく行くことが多い。その組織で働く人にも色んな意味で還元されているだろうし、様々な局面である程度お金が解決してくれる。
しかし、上杉鷹山(隠居する前は上杉治憲)の話は、
「売上が上がらない」
「利益が出ない」
「競合他社の脅威にさらされていて先行きが不安」
「組織が活性化していない」
「組織の上層部と現場に大きな隔たりがある」
などの、組織の状況が良くない場合で、組織に属する人の心を掴み、組織を活性化し、組織を富ませていくためのリーダシップを描いている。
上杉鷹山は直感的に物事の本質を見抜く力(右脳の力)と、論理的に仮説と検証を実施していく論理的思考能力(左脳の力)が高かったように思う。
今まで当たり前に考えられていたような習慣や儀式をベースに考えるのではなく、物事の本質に対してゼロベースで面と向き合い、「何故なのか?」、「どうあるべきなのか?」を考えてきたのではないだろうか?
その結果、『藩士、藩民を慈しむ』というリーダとしての軸を身につけ、それがぶれなかったからこそ、組織改革が出来たのではないかと思う。
人に対する慈しみの対応だけでなく、上杉鷹山が自分を制する強さ、数値に強くなること(財務に強くなること)は、古今東西リーダに求められる必須能力であろう。
また、この書籍からは、リーダという立場に立つ者であれば誰しもが経験する課題に対して、どう対処するのかというヒントも得られる。
あまり構えずに、
上杉鷹山の名前を聞いた事があって興味がある方はとりあえずこちらを読んでみて下さい。文章も読みやすいので是非どうぞ。
清流政治のの光と影
財政的に壊滅的な状態であった米沢藩に養子として迎えられた名君上杉鷹山公の藩政改革をたどった名著である。
アメリカ合衆国第35代大統領ジョン・F・ケネディや第42代ビル・クリントンが「日本の政治家の中で最も尊敬する人物」として挙げている。
封建社会の中で武士階級の農業を奨励するなど、当時の「常識」にとらわれず、「武士」「農民」といった垣根を越えて、民主的で清廉潔白な政治姿勢を貫いた。
名君として評価される事が多いが、後継者育成に失敗したことと、あまりにも清流過ぎて、いつの世にも存在する、泥をかぶらざるを得ない者たちにとっては大変厳しいものであったことを見逃してはならない。
現に旧体制派とは何度も衝突し、収拾がつかず旧臣に切腹を命じる羽目にもなっている。
理想的な社会では、「闇」はあってはならないのかもしれないが、現実問題、時には「清濁併せ呑む」ということも必要なのかもしれないとも感じた。
リーダーが偉大すぎると他の者たちの力が育たず、リーダーを欠いたときに大変なことになるということもよくあらわされている。
政治家・経済・福祉関係者には是非読んでもらいたい。
なせばなる、
なさねば成らぬ何事も、
成らぬは人の為さぬなりけり。
ちなみにこの有名な言葉は彼の言である。
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