楽園への道 (世界文学全集 1-2) (世界文学全集 1-2)
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楽園への道 (世界文学全集 1-2) (世界文学全集 1-2)マリオ・バルガス=リョサ
「いいえ、楽園は次の角ですよ」
フローラ・トリスタン(祖母)とポール・ゴーギャン(孫)の二人の話が、交互に語られる形式で物語は進行します。語りは、時々、親しみを込めて二人に呼びかけます。
「スカートをはいた扇動者」フローラ・トリスタンと「芸術の殉教者」ポール・ゴーギャンに血の繋がりがあるとは、初めて知りました。
この物語を一言で語る言葉があります。
「ここは楽園ですか」
「いいえ、楽園は次の角ですよ」
二人は、共に「楽園」を求めて精力的な生き方をしたのでしょう。家族も捨て、身体の不調にも耐えて。
トリスタンは、人間社会に「ユートピア」を求めて、ゴーギャンは、生命力に満ちた豊かな芸術の追求の先に「楽園」を求めて、一途に生きて行きます。
この二人の純粋さに驚かされます。
普通に生きれば、二人とも豊かな生活が保障されていたでしょう。
それなのに、周りの環境や人間関係をすべて捨ててまで求めた「楽園」は、決してたどり着ける場所ではなかったものです。それを承知で求め続けた二人の壮絶な生き方に敬意を表します。
面白い
印象派の退廃的画家ポール・ゴーギャンと彼の祖母で労働運動家のトリスタンの晩年を描いたとても面白い小説。事前に内容を知らずに読み出せばもっと刺激的でショックが大きかったのではないかと思わせる。500ページ近くになる翻訳を圧倒的な筆力とこなれた日本語訳で一気に読ませてしまう。歴史的事実を踏まえつつ、作者の想像力が充分に発揮されたノン・フィクション小説なのだろう。
本邦初訳ということだが、作者はあの落ちこぼれ日系大統領フジモリと大統領選挙を争った現地では超有名人であるということもまた興味深い。
作家の想像力に感服
バルガス=リョサというと、ペルーの大統領選をフジモリ氏と戦ったことで日本では有名になったが(もちろんリョサ氏は落選)、文学の世界ではノーベル文学賞さえ射程圏におさめる大御所、大看板です。
本書はゴーギャンと、日本では無名だがその祖母トリスタンを素材にしていて、それだけでも興味深いが、作者の尋常ならざる想像力とあいまって、読書の楽しみを満喫させてくれる作品になっています。世界文学全集のラインナップに入れるには、評価が定まっていないというか、作品が新しすぎるのでは、という懸念もあったが、読んで納得。面白かった!
星を減らすほどではないけれど、若い読者や海外作品に慣れていない読者のためには、もっと語注があってもよかったろうし、主な登場人物の紹介や作品舞台の地図など、文学全集としては定番のサービスがあってもよかったのでは?
楽園への道 (世界文学全集 1-2) (世界文学全集 1-2)
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